Audit Plus 高橋公認会計士事務所

2024/2/26

自社で実施する経営診断シリーズ:②人事労務診断

企業の将来と発展は、従業員の資質と能力の引き出し方に大きく依存します。今日の競争の激しいビジネス環境では、顧客のニーズを敏感に捉え、未来志向の施策を実行できる従業員の育成が不可欠です。人事労務診断は、従業員一人ひとりの潜在能力を最大限に引き出し、組織全体の活性化と新陳代謝を図るための重要なプロセスです。従業員研修を通じた改革意識の醸成と能力開発、そしてこれらを人事制度と統合して機能させることで、企業は持続的な成長を達成することができます。

人事・労務診断の手順

人事・労務診断は、他の診断と同様に、予備診断、本診断、勧告、指導の四つの段階で進行します。このプロセスは、経営方針や戦略の確認から始まり、それに基づいて必要とされる人員の採用計画や、どのような教育訓練や能力開発が必要かを判断します。

まず、予備診断では企業の現状を理解するために、経営幹部からのヒアリングや、公開情報の収集、業界情報の調査などを行います。この段階で重要なのは、企業の現在の経営状況、特に人事・労務の状況を正確に把握することです。

次に、本診断では、予備診断で得られた情報に基づいて、より詳細な分析を行います。この段階では、特定された課題や問題点を経営者に確認し、実際の業務レベルで適切な助言を提供します。また、改善策の提示と実行計画の作成を行います。本診断では、企業全体の理解が重要になり、生産、営業・販売、財務、情報システムなど、各部門の概要を把握し、統括する必要があります。

勧告段階では、診断結果を報告書にまとめ、依頼企業の経営者や関係者の前で報告会を開催します。報告会では、改善勧告を行い、質疑応答の機会を提供します。

最後に、指導段階では、診断企業からの要請があれば、改善勧告事項の実施計画の作成やアフターフォローを行います。この段階では、具体的な指導とサポートを提供し、企業が自己の力で持続的な改善を実現できるよう支援します。

このプロセス全体を通じて、人事・労務診断は、単に人事部門や労務管理に限定された範囲ではなく、企業全体の経営戦略や各部門の状況を総合的に考慮したアプローチが求められます。これには、人事・労務に関する専門知識と経験に加え、企業全体のビジョンと戦略を理解し、それを人事・労務管理にどのように反映させるかを見極める能力が必要です​​。

診断のポイント

診断の主な目的は、予め把握された課題と改善策を検証し、実際の診断対象に適用することです。この段階では、把握された課題や問題点を経営者に確認し、実務レベルで適切な助言と改善策の提示を行うことが求められます。ここで重要なのは、予備診断の結果をさらに掘り下げ、現状を詳細に分析し、重点化した分析を行うことです。このプロセスを通じて、企業の人事労務に関する具体的な改善計画が作成されます​​。

どのような情報が必要であるか、そのためにどんな分析をする必要があるか、そしてそれによって何がわかるかを明確にする必要があります。これには、経営陣に対して具体的な質問を行い、彼らからの回答に基づいて助言を提供することが含まれます。診断の過程で、経営陣とのコミュニケーションを通じて、企業の実態と課題を深く理解することが不可欠です。

どれだけ精度の高い情報を収集し、それをもとに的確な分析を行うかにかかっています。そのためには、経営陣や関連部署との綿密なコミュニケーション、徹底したデータ収集と分析が求められます。また、診断の結果に基づいて、経営陣に対して現実的で実行可能な改善策を提案することも重要です。

このように、実務レベルでの具体的な改善策を提案するために、詳細な分析と経営陣との綿密なコミュニケーションを要求するプロセスです。このプロセスを通じて、企業はより効果的な人事労務管理を実現し、持続的な成長を遂げることができます​​。

従業員意識調査の実施

従業員意識調査は、企業の内部コミュニケーションの質や経営者に対する従業員の不満、要望を明らかにする重要な手段です。この調査を通じて、企業は従業員の心理状態や職場環境に関する貴重な洞察を得ることができます。特に、厚生労働省が提供している「RCS社内コミュニケーション診断」のようなツールを利用することで、効果的に従業員の声を収集し、分析することが可能です。

従業員意識調査の実施は、企業経営における重要な意思決定の材料となります。例えば、従業員からのフィードバックをもとに、経営層は職場環境の改善、コミュニケーションの強化、福利厚生の拡充などの施策を検討し、実施することができます。また、従業員が感じている問題点やニーズを直接把握することで、より具体的で効果的な改善策を提案することが可能になります。

このように、従業員意識調査は、企業が従業員の満足度を高め、労働環境を改善し、組織全体の生産性を向上させるための重要なステップとなります。企業は、従業員の意見を真摯に受け止め、経営戦略や人事政策に反映させることで、長期的な成功を目指すべきです​​。

能力主義による人事システムの見直し

現代のビジネス環境では、従業員の能力や成果を正確に評価し、適切にフィードバックすることが、企業の成長と従業員のモチベーション向上に不可欠です。このためには、現行の人事考課制度を見直し、「目標管理による評価制度」の導入を検討することが推奨されます。この評価制度では、従業員一人ひとりが自ら設定した目標の達成度を評価し、その過程での努力と成果を公正に評価します。目標達成に向けたフィードバックは、従業員のやる気を高め、職場の活性化を促進します。

能力主義に基づいた人事システムでは、従業員の自己実現を支援し、それぞれの能力と成果を公平に評価することが重要です。従業員が自分の目標を達成するために努力し、その成果を適切に評価されることで、職場のコミュニケーションが改善され、全体の働きがいが増します。また、このような評価制度は、個々の従業員のモチベーション向上に寄与し、結果として企業全体の生産性と効率性を高めることに貢献します​​。

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