2026/1/9
健康経営2.0|人的資本を最大化し企業価値を高める「攻め」の戦略
⚡ Executive Summary(30秒でわかる要点)
- 【着眼】 健康経営は「福利厚生」の枠を超え、人的資本の価値を最大化し、企業価値を直接的に高める「経営戦略の核」へと次元上昇しました。
- 【勝機】 性差に応じた健康課題(男性更年期等による1.2兆円の経済損失)への対応や、日本が主導する国際規格ISO25554の活用が、グローバル市場でのブランド競争力に直結します。
- 【一手】 取締役会での決議を形骸化させず、PHR(パーソナルヘルスレコード)を活用したデータ経営へ舵を切り、投資対効果(ROI)を可視化する体制を構築すべきです。
目次
- 「福利厚生」の終焉、そして「人的資本経営」の土台へ
- 「1.2兆円の損失」という見えないコストを利益に変える
- 事例から学ぶ成功法則:141社の挑戦が示す「可視化」の威力
- 「健康」を軸に、貴社を世界水準のブランドへ
「福利厚生」の終焉、そして「人的資本経営」の土台へ
多くの経営者が、健康経営をいまだに「従業員へのサービス」や「認定取得のための事務作業」と捉えています。しかし、その認識はもはやリスクでしかありません。最新の動向が示す「健康経営2.0」の本質は、個人のパフォーマンス向上を組織のレジリエンス(復元力)へと変換し、最終的には企業価値や社会的価値へと昇華させる「資本投下」そのものです。従業員が心身ともに最高の状態(Well-being)でアウトプットを出し続けることは、不確実な市場環境において最も確実な投資リターンをもたらします。
「1.2兆円の損失」という見えないコストを利益に変える
経営者が直視すべきは、健康課題を放置することによる「見えない損失」の大きさです。例えば、男性特有の健康課題(男性更年期等)による労働損失は、日本全体で年間約1.2兆円にのぼると推計されています。これは単なる医療費の問題ではなく、意思決定の質の低下や生産性の欠如という形で、貴社の営業利益を静かに侵食しているのです。性差(ジェンダー)に配慮した施策は、もはやコンプライアンスではなく、労働力人口が減少する日本において優秀な人材を惹きつけ、定着させるための「勝つための条件」となりました。
「性差」を戦略に取り込み、生産性をV字回復させる
女性の健康施策に注力した企業では、組織に対するコミットメントが16pt向上し、1人あたり年間12.7万円のプレゼンティーイズム(出勤はしているが不調により生産性が落ちている状態)損失が改善されるというデータが出ています。また、世界的に健康格差を解消すれば、世界のGDPが2.6%伸びるという試算もあります。これらは「配慮」ではなく「投資」です。具体的には、管理職を巻き込んだ対話型の研修や、短時間で参加可能なプログラムを構築し、現場の「自分事化」を加速させることが不可欠です。
ガバナンスの深化:取締役会を「健康経営」の主戦場にする
認定制度の改訂により、ホワイト500等の上位認定には「取締役会や経営会議での方針議論」が厳格に求められるようになります。これは、健康経営を人事部任せにする時代の終わりを告げています。さらに、PHR(パーソナルヘルスレコード)データを分析し、専門職(産業医・医療職)が介在して具体的な改善アクションに繋げているかどうかが、企業の評価を分けるポイントとなります。データを「集める」段階から、経営判断の「根拠にする」段階への移行が急務です。
事例から学ぶ成功法則:141社の挑戦が示す「可視化」の威力
現在、141社が参加する「女性の健康施策の効果検証プロジェクト」では、共通の評価指標を用いることで、自社の立ち位置を相対化し、次の投資判断に活かす試みが進んでいます。ある化学メーカー(従業員約4,000名)では、男性更年期プログラムを実証導入し、オンライン診療や処方を組み合わせることで、症状改善と仕事のパフォーマンスへの影響を厳密に検証しています。また、中小企業においても、自治体の補助金を活用して認定取得費用を抑えつつ、若年層への採用PRに成功している事例が急増しています。健康経営は、規模を問わず「攻めの採用・定着戦略」として機能し始めているのです。
「健康」を軸に、貴社を世界水準のブランドへ
日本が主導して発行された国際規格ISO25554は、日本の健康経営のエッセンスを世界標準へと押し上げました。これは、健康経営に取り組む日本企業が、グローバル市場において「持続可能な組織である」という強力な裏付けを得たことを意味します。もはや健康経営は国内の顕彰制度に留まりません。世界中の投資家や取引先から選ばれるための「ビジネス共通言語」なのです。
今回ご紹介した内容は全体像の一部に過ぎません。貴社の固有の状況に合わせて、この健康経営を最大限に活用し、企業価値向上に繋げるための具体的なロードマップについては、ぜひ一度ご相談ください。
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